年齢を重ねたおかげで
ピアノを習うには、未来のない年齢になってしまった。
とはいえ、どれほど若かったとして私にピアノとの未来はおそらくなかったろう。
あれば、すでに違う現在があったに違いない。
それほど技術的な上達が望めないことはわかるので、誰も(自分も)何も期待などしない。目指すのはただ、ピアノの好きなおばあちゃん。けして上手ではないけれど、いつも楽しそうね♪って。
なんという気楽さ! なんという自由!
誰も期待しないからこそなにもおそれるものなどないではないか(笑)
どこからか聞こえてくる、だれかが練習している生のピアノの音は、(私にとっては)上手下手は関係ない。だれかがピアノを弾いてるってことが、それだけでなんだかステキ。
住宅街を歩いていると、あちらこちらからピアノの練習がきこえてくるようなのっていいな。うっとりするほどステキな演奏もいいけれど、そうでないとしてもたくさんの人たちが気楽に気軽に音楽を楽しんでいる世界っていいな。
私はそんな世界の住人の一人になって、楽しそうにピアノを弾くおばあちゃんになりたい♪
若いころの私は、自分の弾く下手なピアノが恥ずかしかっただろう。いや、別になにも恥ずかしくなどないのだが、そういう気持ちがあったと思う。
でも、今は恥ずかしがる必要などないってことが、すんなりと理解できる。
若いころはすこし、自意識過剰だったのかな。
それが若いってことなのかもしれないけど。
年齢を重ねたおかげで、いろいろなことから自由になれたと思う。