誰かに聴いてもらうために弾くことをためらう
電子ピアノを弾いている。
スピーカーから音をだしたことは購入以来一度もない。
動作確認くらいはしたかもしれないが、少なくとも曲を弾いたことはない。
搬入したのは、トラックに大きくメーカー名が表記されている、メーカー指定のピアノ配送業者さんだったが、搬入時に電子ピアノで一曲弾いたりはしなかった(笑)ので、
ある意味とても気の毒なスピーカかもしれない。
・・・ごめんね、スピーカちゃん。(おとめ座の一等星みたいだw)
窓の外を通る人に、電子ピアノの打鍵音が聞こえているかどうかわからない。そうそう聞こえやしないと思う。聞こえたところで私の耳にかかったヘッドフォンの音が外まで聞こえるはずはない。
誰も私が何を弾いているか知るはずはない。
疑いようのない事実。
それなのに、時々窓の外を通る人が私のピアノをあざ笑っているよう気がする。
外から聞こえる誰かの笑い声が、私がピアノを弾くことを、あるいはピアノを弾く私をあざ笑っているように思える。
ありえない。
すぐに理性で否定して、上記の事実を確認して、弾き続ける。
原因はわかっている。
子どものころ、わたしが繰り返し練習するフレーズを
父や叔父がからかうように私にむかって口ずさんだことだ。
子どもに向かって、けして悪気があったのではないだろうと思う。
それでも、一所懸命取り組んでいることを、からかわれた。
そのできないフレーズを、口先でなら、いとも簡単に(?)滑らかに再現できるのに、私のピアノは無限とも思われるほど(ほら、子どもだから余計にそう感じるでしょう)、回数を重ねてもつっかかってばかりなのだ。
その感情を言葉で表現することもできなかったけれど、それは大変に屈辱的にというか、まあつまり「すごくすごくイヤ!」なことだった。
「やめて」ということもできなかった。
それとも言ったのか。言ったけれど繰り返しからかわれたのか。
子どもをからかって、嫌がるのを見るなんてくだらない行動だと思うが、実際そういうところのある人たちだったので、私にはどうすることもできなかったと思う。
そのこと自体は、もういまさらで(笑)恨みに思うこともない。
はるかかなたの過去の話だ。
な~の~に~!(笑)
もしかして人前で弾きたくないのはそれがまだ尾をひいているからなのかな?
もういい加減、そんなところにとどまっている必要なんてこれっぽっちもありはしないのに。
父は私にピアノを習わせたことをいまでも損失と思っているだろうか(もう故人だが)母は私が今でもこんなにピアノに焦がれていることを理解していないし(そんなこたど~でもいいんだがw)
これから何らかの形で、この殻を破りたいとは思うけれど・・・自分の気持ちに正直に問えば、まだ人前で弾くことにはためらいがある、としかいえない。